カルロス・ゴーン被告(65)が8日に開いた会見で、冒頭での発言の要旨は以下の通り。
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自分の世界や家族、友人、会社から引き離されて、400日以上もこの日を待ち望んできた。
私は裁判官や検察官に無罪の弁解をしたが、手錠と腰ひもを掛けられた。保釈の試みに何度か失敗し、独房で拘束された。代理人が目を通した手紙を除いては、家族にも数週間も会えなかった。弁護士の立ち会いもなく、毎日何時間も尋問を受け、自白するよう迫られた。自白しなければ事態は悪くなるだけだと、検事に繰り返し言われた。
私の評判を壊そうとする人々による組織的なキャンペーンを受け、筆舌に尽くしがたい試練を受ける中、支援してくれた家族や友人、レバノン当局とレバノン国民、私の弁護士、日本の人権活動家らに感謝したい。
間違った情報が組織的に漏らされた結果、私は世界中の人々によって有罪とみなされるようになった。私が経験した残酷さは、一握りの人たちのせいだ。検察の助けを借りた日産や(日産の内部調査に関わった米国の大手法律事務所である)レイサム&ワトキンス法律事務所の人たちだ。
私は正義から逃げたわけではない。不正義から逃げたのだ。自分自身を守るほか選択肢はなかった。公平な裁判が不可能であることに観念し、唯一選べる道だった。難しい決断だった。
司法制度の正当性は有罪率に置かれるべきでなく、真実を尊重することへの信頼感に置かれるべきだ。日本の評判を壊したのは検事たちや日産の者たちだ。
私にかけられた嫌疑には根拠がない。これは計画された謀略だ。
死んだような会社だった日産を、私は1999年から17年間かけて立て直した。だが2017年から業績が悪化し始めた。私は18年6月より前に引退しようと思っていたが、ルノーと日産の提携の今後のために適任と言われて残ることになった。日産に対するルノーの影響力を取り除くために、私を追い出すしかないと考えた者がいたのだ。
支払いがされていない報酬についての容疑での逮捕だと知り、衝撃を受けた。逮捕される理由はなく、法律違反ではない。日産と日本の検察がぐるになっていた。それを分かっていないのはおそらく日本の人だけだ。
私は17年間尽くした国の人質になった。プロとしての人生を捧げた。10年間土にまみれ、誰も再生させることができなかった会社を再生させた。私は日本でロールモデルとされ、経営に関する20冊以上の本で私のことが書かれている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル